火曜, 9月 19, 2017
   
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全国大学医師会連絡協議会について

全国大学医師会連絡協議会いよいよ発足!

東京都大学医師会連絡協議会事務局、東京医科歯科大学医師会長 水澤英洋

 去る8月5日、東京都医師会館において全国大学医師会連絡協議会が発足した。東京都には13の医科大学あるいは大学医学部があり、そのうち12施設に大学医師会が存在し東京都大学医師会連絡協議会を組織して意見交換などを行っている。近年、大学医学部や大学病院が多くの共通する問題を抱えていることが明らかとなり、全ての大学医師会が力を併せてこれらの問題に対処していくべきであるとの機運が高まり全国に呼びかけたのが始まりである。この呼びかけに応じて全国81医科大学/医学部の60大学医師会から50医師会、医師会のない21施設からは11施設を加えて大多数の医科大学/医学部からのご参加をいただいた。

 当日は、唐澤祥人日本医師会長、鈴木聰男東京都医師会長をはじめとするご来賓6名を迎え、全国から大学医師会長並びに施設代表の方々46名が出席し、運営方針、規約、事業計画などを決定し、日本医師会の地区ブロックに対応する地区毎と東京都で幹事を選出し、互選にて会長と事務局を決定した。なお、メンバーの少ない地域は当面統合して運営される。具体的には、会長:寺島芳輝(慈恵医師会長)、事務局:水澤英洋(東京医科歯科大学医師会長)、幹事:北海道・東北地区:本郷道夫(東北大学医師会長)、関東甲信越地区;五十嵐徹也(筑波大学医師会長)、中部(東海・北陸)・近畿;上田龍三(名古屋市立大学医師会長)、中国・四国・九州・沖縄;香川征(徳島大学医師会長)という構成である。当面の活動として、大学医師の活動状況とくに勤務・経済環境を明らかにし広く日本医師会会員や国民に周知してその改善・向上を目指すこととしている。

 近年、大学病院における診療を取り巻く状況は、医療事故の多発、新卒後臨床研修制度の導入、旧国立大学の独立行政法人化など大きく変化している。その中で大学病院の医師は診療面では難治性疾患などに対する高度かつ先進的・専門的医療や若手医師の臨床研修などを担い、加えて医学部学生の卒前教育に欠くことのできない存在であり、近年は高学年の臨床実習のみならず入学初期からの医学教育にもその関わりが増加しつつある。さらに、高度先進医療とは切り離すことのできない研究も重要で、疾病の原因同定、発症機序の解明、診断法や治療法の開発を担っている。とくに治療法の開発では臨床試験や治験の重要性も一段と増している。このように、大学病院には他の医療機関では替わることのできない大きな責務がありそれは着実に増加しつつある。

 大学病院の医師の給与は安く診療所や一般病院に勤務の皆さんと比べ最低の水準であるが、それでもかつては自らの好きな研究する自由と時間がもっと存在した。そして、米国の1/5〜1/10という極めて少ない教員で必死の努力を続け、世界のトップレベルの診療や研究をしてきたといえる。今はどうであろうか?医療・医学教育のレベルやサービスの向上に比べてほとんど人員が増えないため一人一人の仕事が増え続け、若手〜中堅医師にはもはや大学病院に留まるメリットはないと大学に見切りを付ける動きが加速している。このまま放置すれば大学における医学と医療の荒廃が進み、必ずや近い将来に日本の医療全体が壊滅的なレベルの低下を招くことになろうと危惧される。全ての医師を養成する大学医学部と大学病院が潰れてしまうということは、診療所あるいは病院といった診療形態に拘わらず全ての医師と医療機関にとって影響は甚大である。この大学医学部と大学病院の現状については、ほとんどの国民はもちろん多くの大学病院以外の医師ですらご存じないと思われる。このような、危機を目の前にして、今こそ大学の医学・医療を立て直し、あるべき姿に向かって大学医学部と大学病院の医師である我々自身が動き出す必要があると思われる。

 大学医学部や大学病院を代表する組織としては全国医学部長病院長会議等があるが公的な性格が強く、そこで働く医師の代表というにはかなり遠いというのが現実と思われる。すなわち診療所は日本医師会が、また一般病院は日本病院会など各種病院団体がその立場を代表して活動してきたが、大学病院あるいは大学医師の立場を充分に代表する組織は少なかったといえる。この全国大学医師会連絡協議会は、全く自発的な組織でありより自由かつ柔軟に活動できる。したがって、全国医学部長病院長会議等とはまさに車の両輪として相補う関係にある。

 日本医師会の勤務医部会は勤務医全体の問題を扱う中、全国大学医師会連絡協議会は前述のような大学病院の持つユニークな特徴に基づいてそこに特化した活動をすることによって勤務医部会全体の発展にも貢献できるものと期待している。日本医師会が日本の全ての医師を代表する組織として真に発展するためには、この全国大学医師会連絡協議会の活動と発展が必須と思われる。我々の活動により、多くの診療所あるいは一般病院の医師の方々はもちろん広く国民に、大学医学部と大学病院の現状ならびにそこで働く医師の献身的な活動を詳しく知っていただくことが初めてできるものと期待している。そして国民に正しく理解し支持してもらい、世界をリードする医学研究、効率的な医学教育そして安心できかつ高度な医療を実現したい。


ご意見や情報があったら是非事務局までご一報いただきたい。

東京医科歯科大学医師会内、
〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45 東京医科歯科大学医師会

電話:03-5803-4745 FAX:03-5803-2231
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(平成18年11月20日、日医ニュース、第1085号8頁勤務医のページに掲載)